欧州人の見た戦前日本の光景【4】・鉄道運行

日本の鉄道運行は諸外国に比べて正確であるというのは、よく言われてきたことであり、日本国内でも、常識化していることであると思う。こういった点についても、ロスは見解を述べている。

日本の鉄道の管理経営は卓越している。戦時下の非常時にもかかわらず、列車の運行は正確で規則正しい。*1

私の感覚では、ドイツ人も鉄道運行のような定型作業は得意そうに思えるが、日本の鉄道運行は古くから海外においても正確と評されていたということがわかる。
しかしながら、日中戦争という戦時下ゆえに列車の運転本数が異常に増大し、当時の状況下では、かなり運行が制限されていたということが、以下の内容から感じ取れる。

だが近年、旅客ならびに貨物輸送はまさに驚異的に増大した。列車の運転本数は異常に増やされたが、現存の鉄道網では、ただ制限つきの運行しかできない。*2

もっとも、近年は、予期せぬ事故が多くなっていることもあると思うが、かなり鉄道運行の正確性は落ちてきているような気はする。単純な整備不良のような要因によるダイヤの乱れも増えており、日本人の几帳面さが失われてきているのではといったような感もある。

*1:コリン・ロス 『日中戦争見聞記』 講談社学術文庫 2005年12月1日 P57

*2:コリン・ロス 『日中戦争見聞記』 講談社学術文庫 2005年12月1日 P57