ABCD包囲網考【15】・米戦史家の記述

ABCD包囲網考では、イギリス人の書いたものや所感を取りあげることが多くなっているが、今回はアメリカ人戦史家のサミュエル・エリオット・モリソンの著書を取りあげてみたい。
アメリカが一連の対日経済制裁を行ったという記述の後に、以下のようなくだりがある。

Now, in the second half of 1941, the British and the Dutch cooperated in both freeze and embargoes; and as Japanese oil stocks dwindled, the government found itself in a dilemma. *1

1941年後半には、イギリスとオランダがアメリカに協調して、資産凍結と禁輸措置を実行して、日本の石油備蓄は枯渇の危機に陥り、政府はジレンマに陥ったとある。モリソンは、協調して実行された政策*2であると明記している点に留意するべきだろう。
なお、ここでの、ジレンマは、アメリカの要求をのんで石油を入手するか、対米宣戦をするかということである。

*1:Samuel Eriot Morison 『The Two-Ocean War』 Naval Institute Press 2007/4/6 P42

*2:cooperated