ABCD包囲網考【14】・興味深い英国人談話

J.F.C.フラー、リデル・ハート等の英国人は、開戦の責任を必ずしも日本の側だけのものとしておらず、より直接的な引き金は、むしろ連合国側の経済封鎖にあったと述べていたことは過去の日記で既に書いた。
d:id:royalblood:20090609
d:id:royalblood:20090610
こういった見方については、日本側の史料『大東亜戦争全史』にも面白い記述がある。
これは、昭和19年6月20日に、イギリスの軍需生産大臣オリバー・リットルトンが、ロンドンの米国商業会議所における茶話会で述べた発言ということである。

米国が戦争に追ひ込められたと云ふことは歴史上の改作狂言である。米国が日本をして次の如き限界にまで追ひ込んだのである。即ち日本人は、米国人をパールハーバに於て攻撃するを余儀なくせらるるまで強圧されたのである。*1

イギリスの要人が戦時中に、「アメリカが、日本によって、戦争に追い込まれたというのは嘘であり、アメリカが日本を真珠湾攻撃をする程に追いつめた」と言っていたというわけである。イギリスは、どちらかというとアメリカにつり込まれる形で反日に転じたd:id:royalblood:20090529のであるから、プライベートな席でこのような見解が出ることも不思議というほどではないだろう。なお、残念ながら、この談話の一次史料は不明である。

*1:服部卓四郎 『大東亜戦争全史』 原書房 P131