ドイツ軍の特攻部隊

日本では特攻隊は有名であるが、同時期の他国には例はなかったのだろうか。そういうことを疑問に思っていたのだが、先日とりあげた、グデーリアンの『電撃戦』を読んでいたら、ドイツ軍の終末期に、日本の特攻隊のような組織があったことが確認できた。引用文は1945年の状況である。

国防軍の弱体ぶりはいたるところでさらけ出されていたのだ。ソ連軍のほうは、わが軍の無力なことを確信するにつれて気勢があがっていくらしく、その機甲諸隊はますます大胆に攻撃していた。このため、ヒトラーは一月二十六日に、対戦車師団一個の新設を命じた。新設というと、いかにも聞こえはいいが、実態は目転車中隊からなり、勇敢な中、少尉の指揮のもとに対戦車銃(パソツァーファウスト)を装備し、T-34などの重戦車に体当りするというものであって、中隊ごとに分割して戦線に投入された。非常に悲惨な犠牲だった!*1

既に、まともな手段でソ連軍の重戦車に対抗できなくなっていたドイツ軍は、特攻用の対戦車師団を組織し、戦線に投入していたということがわかる。組織的な特攻は当時においても、日本軍の専売特許というわけではなかったのだ。

*1:H・グデーリアン 『電撃戦』 フジ出版社 1980年11月25日 P412