第二次大戦時の日本軍への意外な軍事能力評価

日本国内の一般向けの書籍では、日本海軍に関しては、論争があるものの、太平洋戦争以降の日本陸軍に関しては、無能だったというのが通説だと思う。
しかし、英国の戦史研究家リデル・ハートの「世界史の名将たち」の原書を読んでいて、意外な評価があることに気付いた。
手元にあるDA CAPO社発行の版では、テンプル大学教授の軍事専門家、RUSSELL F. WEIGLEY氏が序文を書いているのだが、その中で「彼は、1941年−1942年の日本のヨーロッパとアメリカに対する勝利を待たずして、この本が出版されていた、1927年という時期において、まだ西洋において流布されていた、アジア人の生来の軍事的才能が、西洋人に劣っているという信仰が、完全に根拠の無い神話として、退けるべきであるとしていた。」と書いている。
つまり、1941年−1942年の日本のヨーロッパとアメリカに対する勝利は、西洋人の東洋人の軍事能力に対する偏見を正す契機となったという前提で書かれているのである。

以下英語原文
But he did not have to await the Japanese triumphs over Europeans and Americans in 1941 and 1942 to recognize that the belief in the inherent military inferiority of Asians to Weterners, still prevalent in the West when this book was published in 1927, had to be dismissed as altogether unfounded myth.*1

※あまり筆者の英語能力は高くないので、完全な訳ではないと思いますが、ニュアンスは合っていると思います。

*1:DA CAPO社、B.H.Liddel Hart『GREAT CAPTAINS UNVEILD』